このページの記事一覧 Newer Posts Older Posts

November 29, 2005

モスタルにブルース・リーで、やっぱり正解だった!



せっかく完成したブルース・リーの銅像(11月27日の日記参照:モスタルに完成したブルース・リー像が意味するもの)なのに、その一部がもう壊されてしまいました。除幕式の翌日の朝には、片方のヌンチャク棒と鎖がなくなっていたそうです。

それはとても残念なことでしたが、このニュースを配信した時事通信社の伝え方のほうにも疑問を感じざるを得ません。まず、記事の題名が「ブルース・リーの銅像破壊=除幕式直後―ボスニア」です。その記事は下のリンクで読めます。
Livedoor ニュース (追記:左はリンク切れです。)
Yahoo! ニュース (追記:左はリンク切れです。)

「ボスニア・ヘルツェゴビナ南部のモスタルに建てられたカンフー映画の英雄ブルース・リーの銅像が除幕式からわずか数時間後に破壊された。」という部分が引っかかります。

新聞記事を最後まで読めばわかりますが、実際に損壊が発見されたのは除幕式の次の日の早朝なんですよ。「除幕式直後」「除幕式からわずか数時間後」というのは、考えようによっては間違いではないかもしれないけれど、誇張されていると感じました。

AFP通信による英語の原文はここで読めます。
Vandals hit Bruce Lee statue in Bosnia (追記:左はリンク切れです)

時事通信社は、原文の "hours after" をそのまま「数時間後」と直訳したようなのです。しかし、例えば3時間後でも13時間後でも英語では "hours after" になるわけで、日本語の題名の「直後」や記事内の「わずか数時間後」という響きからすると、とても一夜明けた後の話には聞こえません。見出しだけ読んだ人が誤解すると思います。これを翻訳した人は、言葉使いやニュアンスを全然気にしていないのかな??という感じがしました。(女性週刊誌やスポーツ新聞じゃないんだから・・・。)

一方、Asahi.com (朝日新聞)では、「除幕式から1日もたたないうちに壊されているのが見つかった。」「わずか十数時間後に」となっており、こちらのほうが適切な表現だと思いました。

Asahi.com の記事はここ。
ブルース・リー像のヌンチャクなくなる ボスニア (追記:左はリンク切れです。)

日本語と英語間の正確な翻訳というのは難しいとは思いますが、ニュースを読むときは鵜呑みにするのではなくて、自分の頭で考えて真意をとらえないと・・・危ない危ない。また、自分自身が文章を書くときも、知らず知らずのうちに不正確な表現をしていることがたくさんあると思うので、気をつけねば・・・。

そのほかに私が感じたことは以下の通りです。

土台が低すぎた??

公共の場所に設置される銅像の場合、耐久性が重要です。人が不意にぶつかったりボールが飛んできても壊れないように。ボスニアの像は、ヌンチャクや鎖など壊れやすい部分があるので、これ以上同じ被害が起きないようにするためには(フーリガンが夜中によく来る公園だそうですし)、土台を高くして人の手に簡単に触れられないようにするしかないんじゃないかな・・・。土台をあえて低くしたのは、実物大のブルース・リーの体のサイズを間近で味わうためだったかもしれません。手を伸ばせばすぐヌンチャクに触れられるような距離です。

土台の低さがわかる写真
Bruce Lee symbol of unity in Bosnia
民族対立続くボスニアの町で、ブリース・リーの彫像完成 (追記:左はリンク切れです。)
Bruce Lee remembered in Hong Kong, Bosnia(簡単に手が届いてます。)

香港の方が土台が高い
香港にもブルース・リーの銅像=生誕65年を記念 (追記:左はリンク切れです。)

公園の宿直管理人はなぜ止めなかったのか?!

"I heard a loud bang but I was alone and I couldn't stop them. Police should have been more agile. They know that hooligans visit this park regularly." と宿直管理人は言っていますが、本当に止めようとしたようには思えないんですが。フーリガンが暴れているのを通報したのではなく、朝になって銅像が壊れているので警察に通報した、ということのようですし。いつもの不良どもがまた来た、ぐらいにしか思わなかったのでは?なんだか、お花見に来た人たちが酔っ払ってどんちゃんさわぎをするうちにハメをはずして物を壊すのに似ている気がします。酔って暴れている時点で警察に通報して欲しかった・・・。

やっぱりブルース・リーの銅像で正解だった!!

これがもしもブルース・リーではなく、すこしでもカトリック寄り、またはムスリム寄りの人物の銅像だった場合、たとえ酔っ払いのフーリガンに壊されたとしても、民族間のけんかに発展していたかもしれません。いくら宗教に関係ないと説明したところで、それを信じることができない人々がいてもしかたがありません。その点、今回はブルース・リーなので、これをクロアチア人またはムスリムのせいにするひとはまだいません。市民の怒りはもっぱらフーリガンに向けられています。雨だった土曜日の除幕式に参加したのは300人程度でしたが、モスタルはヘルツェゴビナの主要都市なので、通勤・通学に来る人々がたくさんいます。私の友人もそうで、月曜日に銅像を見るのを楽しみにしていたのに、まだ見もしないうちに壊されたことを知り、憤慨していました。

現在捜査中だそうですが、早く解決するといいですね。

写真で見る!今日のブルース・リー像につづく

関連記事:
地元の人に聞く!なぜモスタルにブルース・リーなのか
モスタルに完成したブルース・リー像が意味するもの
写真で見る!今日のブルース・リー像
ブルース・リーのヌンチャク、ジプシーの子供たちにとっては金の延べ棒
ブルース・リーの銅像はどこへ行った?
ブルース・リーが帰って来た!(1日だけ・・・)

November 27, 2005

モスタルに完成したブルース・リー像が意味するもの



11月26日(土)、世界初のブルース・リーの銅像がモスタル市に完成しました!写真で見るとなんだか小さく見えますが、等身大だそうです(1メートル68センチ)。

ニュース記事と写真は下のリンクで見られます。
Bosnia unveils Bruce Lee bronze (BBCニュース)

別の角度から見ると、こんな感じ。(すごいアングルですね・・・。)
Bosnian town erects world’s first Bruce Lee statue (ロイター)(追記:リンク切れ)

また、世界で2番目となる香港のブルース・リー像は、翌日(ブルース・リーの誕生日にあたる11月27日)に公開されます。

香港の銅像の製作中の写真はここ。
Bosnia to ’beat’ Hong Kong with Bruce Lee statue (AFP)(追記:左はリンク切れ。同じ写真がこちらで見られます。公開前の、11月23日の写真。 )

もともと、モスタルの計画のほうが香港よりもずっと前に始まり、モスタルの人々の同意や市からの許可、資金集めなど数多くの問題を乗り越えての完成だったので、「世界初の」というタイトルが欲しかったみたいです。

ほぼ同時に出現したこの2つの銅像が比べられるのはしょうがないでしょうね。ポーズとしては、香港の銅像のほうが動きがあってかっこいいかななんて、最初の一瞬は思ってしまいました。しかし、この銅像の役割は全然違うものです。香港のほうは、ちょっと触ったら足蹴りが飛んできそうな感じです。一方、モスタルの方は、戦いの準備は出来ているものの、「ちょっと待て、攻撃するまえによく考えてみろ。」と示唆しているかのよう。大学で哲学を学んだブルース・リーの精神的な部分を強調し、モスタルの平和のシンボルとしての役割を体現したポーズだと思います。

戦争中は、虐殺と虐待が民族浄化の名のもとに正当化され、残虐な行為が繰り返されていた場所です。万が一、この地でまた争いが起きたときに、この銅像を見た人が少しでも立ち止まって真の正義の意味について考えてくれればいいと思います。

ちなみに、モスタルのブルース・リーの銅像は北を向いて立っています。モスタル市では(ネレトバ川を境にして)東側にムスリム人が住み、西側にクロアチア人が住んでいるので、どちら寄りでもない北を向いているのだそうです。

モスタルにブルース・リーで、やっぱり正解だった! に続く

関連記事:
地元の人に聞く!なぜモスタルにブルース・リーなのか
モスタルにブルース・リーで、やっぱり正解だった!
写真で見る!今日のブルース・リー像
ブルース・リーのヌンチャク、ジプシーの子供たちにとっては金の延べ棒
ブルース・リーの銅像はどこへ行った?
ブルース・リーが帰って来た!(1日だけ・・・)

November 26, 2005

ボスニア紛争の死者の数が見直される



デイトン合意からちょうど10周年。欧米のニュースでは、戦後10年を振り返って特集を組むなど、いろいろな方面でかなり話題になっていました。それに比べ、日本国内での扱われ方のなんと小さかったこと!日本のメディアの弱さを感じてしまいました。

さて、20万人とも25万人とも言われていたボスニア紛争の死者の数ですが、よく調べてみたらその半分の10万人ぐらいかもしれないそうです。

ニュース記事:
Research halves Bosnia war death toll to 100,000 (ロイター)(追記:リンク切れです)

まだ調査中で、正式な結果は来年の春に出るそうです。死者数がたとえ半分に減ったとしても、戦争の悲惨さは変わりません。

もっとすごいのは、いまだに1万4千人が行方不明だそうで。

ニュース記事:
14,000 Bosnians still missing (追記:リンク切れです) 

皆殺しにした人々を集団墓地に埋め、さらに証拠隠滅のためにそれをブルドーザーで掘り返して別の5箇所に移したので、人骨はバラバラの状態のことが多く、同一人物の骨が複数の墓地で見つかってもおかしくないそうです。先月も、集団墓地のひとつが新たに発見されました。これを聞いて、当時者でない私でさえ非常な怒りを感じるぐらいですから、家族をそんなふうに殺された人々の怒りや悲しみは想像を絶するものがあります。

ニュース記事:
New Srebrenica Mass Grave Found
Identifying Srebrenica’s Missing(&虐殺の日の体験談)(動画とテキスト)

最近は物騒な世の中ですが、こんな戦争に比べたら日本はまだ平和ですね。いまの日本の平和に感謝・・・。

November 22, 2005

旧オマルスカ強制収容所



10年前のちょうど昨日(11月21日)、アメリカのオハイオ州デイトンで和平協定が結ばれ、ボスニア紛争が終結しました。10周年にあたり、先週ごろから各国のニュースでそのことがまた話題になっています。あのボスニア戦争のことを調べるには、今が絶好のチャンス。インターネットのニュース記事だと、一定の期間を過ぎると無料で閲覧できなくなってしまいますから、その前に出来るだけ読んでおこうと思います。私は10年前、ボスニア戦争に関してはほとんど無関心で、「遠い国の戦争」ぐらいにしか思っていませんでした。いま、遅ればせながら少しずつバルカン半島を理解しようとしているところです。

さて、ボスニアの旧オマルスカ強制収容所の今を伝えるこんな記事がありました。
Ex-foes make peace at Omarska (BBC)

記事の中に出てくる、“How could they do this?" "Neighbours, former school friends and work colleagues. I don't understand." という、数少ない生存者の言葉がずしりと心に響きます。以前は近所で挨拶を交わしていた普通のおじさんおばさん、昔の同級生、仕事場の同僚だった人々が戦争が始まったとたん急に敵になって、こんな仕打ちをしてくるんですね・・・・。多民族国家だからこそ起こる現象。体験者の話やインタビューを読まないと、とても想像し得ない状況ではないでしょうか。

上記のサイトで "See the site of the former prison camp in Omarska in Bosnia" をクリックすると、ニュースの動画が見られます。現在の旧オマルスカ収容所の様子と、当時の様子(収容所の中でガリガリになっているクロアチア人やムスリムなど・・)の映像がちょっとだけ見られます。

また、"Before and after images of the Bosnian war” というところで Open (in pictures)をクリックすると、ボスニア・ヘルツェゴビナ各地の戦争中と現在を比べた写真が4枚出てきます。壊れたモスタルの橋と修復後の橋の写真もあります。(両方とも、ネレトバ川から橋を見上げたところ。)

戦争が終わってよかった・・・。

参考 - Goo映画: 「コーリング・ザ・ゴースト 沈黙を破ったボスニア女性たち」(1996) (オマルスカを扱ったドキュメンタリー)

November 21, 2005

羊のリアリティーショーのHPに英語版が出現



9月28日の日記に書きました羊のリアリティーショーのホームページに、最近になって英語版が追加されました。
http://www.stado.org/ (追記:リンク切れ)

勝者が決まる前に英語版を載せてくれればもっとよかったのに!たぶん、ショーがロイターの記事に取り上げられて世界に配信されたので、英語圏の人から問い合わせがたくさん来たんじゃないかな?動画のダウンロードも出来ます。

羊のヨシップくんからの優勝コメントの意味がこれでやっと分かりました(笑)

ヨシップくんの言葉

"Danas sam bio jako uzbuđen pa i iznenađen sa svim događanjima oko rezultata. Drago mi je što sam pobjednik, ali mislim da je Prozerpina također zaslužila doživjeti prirodnu starost. Bilo je napeto do samog kraja. Sada ću zdravo umoran zaspati kao janje, a vidjet ćemo kako ću se sutra osjećati kad izađem i sve postane stvarnost."

英語訳

"Today I was so excited, even surprised by the events leading up to the results. I am happy I am the winner, but I think Prozepina also deserves to live well into her old age. It was tense until the very end. Now I'll sleep like a lamb, and we'll see how I'll feel tomorrow when I come out and this becomes reality."

ヨシップくんはかなりお疲れだったようですが、きっと子羊のようにぐっすり眠れたことでしょう!

November 20, 2005

セルビア人共和国って今どんな感じ?



セルビア人共和国(スルプスカ共和国)って今どんな感じ?と思っていたら、こんな新聞記事をみつけました。

「ボスニア内戦終結から10年、解けぬ民族間の不信」(読売オンライン、11月19日付)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051119id26.htm (追記:リンク切れ)

セルビア人共和国の元首相、ミロラド・ドディキ氏(47)は「民族間の相互不信は10年やそこらでは解けない」と言い切った。(前後略)

確かに10年じゃ無理でしょう!戦争が終わって半世紀たってもいまだに日本のことを恨んでいる人たちがアジアにもたくさんいますし・・・。親兄弟や親戚を殺されたり自分が被害にあった場合、たとえ一生不信でもしかたがないと思います。これを社会的に変えられるのは教育の力(差別はいけないことだと子供に教えていくなど)ぐらいかなと思っていましたが、日本で韓国ドラマがそれをやってのけてくれたときは、びっくりしました!いままでの日本の歴史の中で、民族間の意識(日本人の韓国人に対する意識)をあんなに効果的に短期間でひっくり返したものってなかったのでは?芸術の力は時として教育にも勝る。

ボスニア・ヘルツェゴビナという国は、セルビア人共和国とボスニア・ヘルツェゴビナ連邦とに二分されてしまい、まるで戦争で疲れきった地域がしょうがなくくっついて我慢しているような感じ。遅かれ早かれ、これをどうにかしなければいけないときが来るでしょうが、今はまだ両者とも戦争で経済力が落ちているので何もできない、とりあえず体力の回復を待ってから、という感じがします。どうかまた戦争が起きませんように・・・。

バニャルカの位置を地図で確認する

セルビア人共和国の首都バニャルカ(Banja Luka)の地図を Google Maps で見るにはここをクリック。

ちなみに、セルビア人共和国はセルビア共和国とは違います。なんとも紛らわしいお名前です。その違いは、9月26日の日記「ヘルツェゴビナってどこからどこまで?」を参照なさってください。

November 17, 2005

「アレキサンダー」(2004年)



原題:Alexander
監督:オリバー・ストーン

この映画、コリン・ファレルの顔にすごい違和感を感じてしまいました。髪だけは金髪なのに、眉毛とか無精髭の色が黒いから、この役のために髪を染めたんですっという雰囲気。これでかなり最初からひいてしまいました(笑)。アレキサンダーの人生を、時間を交差させながら淡々と描く。だから、話に深く感動するようなことは全然なかったけど、歴史について考えさせられたので、興味深かったと言えなくも無い。

この古代マケドニア王国というのは、旧ユーゴスラビアの一部であった今のマケドニア共和国とは違うものらしいですね。古代マケドニア王国があった地域は、今のブルガリアとギリシャとマケドニア共和国に分断されていますが、もともとはギリシャ人が多く住んでいた地域。そのあとそこにスラブ人が侵入してきました。ギリシャ側にしてみれば、古代マケドニアはギリシャの一部という意識が強く、スラブ人がマケドニアの名前を名乗るなんてとんでもない、ということのようです。逆に、マケドニア共和国側にすれば、自分たちはもう先祖代々マケドニアの地に住んでいるのだから、マケドニアを名乗って何が悪いのさ、という感じでしょうか。友達のクロアチア人に聞いてみたら、そんな確執については全然知らなかったと言っています。でも、マケドニア共和国の人に聞いてみたら、やっぱりギリシャに対して怒ってました!

アレキサンダー大王の母親オリンピアをアンジェリーナ・ジョリーが演じており、かなりアクセントの強い英語を話しています。Rがすごい巻き舌です。オリンピアはエピロテという場所の出身らしいのですが、エピロテはギリシャの北西部で、アルバニアやマケドニア共和国にも近い。「外国語なまり」を演技で作り出すにあたり、周辺のスラブ系言語を参考にしたのかな??んー、Rが巻き舌になる言語は他にもあるから、違うかも(笑)。

アレキサンダー プレミアム・エディション

November 16, 2005

クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(2)



昨日の日記クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(1)の続きです。

上級のテキストのほうに、ちょっとした間違いを見つけました。

Next to each name was an initial denoting their sexual orientation – whether they are gay, lesbian, transsexual or transvestite.

出典はここ

gay, lesbian, transsexual or transvestite (ゲイ、レズビアン、性転換者、異性装指向者)」となっていますが、これは、正確ではありません。

まず、例の広告はここで見られます。
http://comingout.gay.hr/ (追記:リンク切れ)

その広告の解説はここ。(クロアチア語)
http://comingout.gay.hr/stojecomingout.php (追記:リンク切れ)

上の広告の解説によれば、実際のカテゴリーはLGBTIQに分けられています。

  • Lezbijka レズビアン lesbian
  • Gay/Gej ゲイ gay
  • Biseksualna osoba 両性愛者 bisexual
  • Transrodna osoba 身体の性と心の性が一致しない人 transgender
  • Interseksualna osoba 半陰陽者 intersexual
  • Queer クイアー(上のどれにも当てはまらない同性愛者)queer

Transrodna osoba (= transgender)

自分の身体の性と心の性が一致していないと強く感じる人。(性転換者である必要はない。)

Transeksualna osoba (= transsexual)

身体の性と心の性が一致せず、それをなおすために性転換手術をした人(又はしたいと望む人)。transgenderの一種といえる。

Interseksualna osoba (= intersexual)

半陰陽者。先天的に体が両性を示していたり体の性が医学的に不明な人

Queer(これは英語と同じ)

かつては同性愛者に対する蔑視の言葉でした。しかし最近では、最も広い意味での同性愛者、または自分がどのカテゴリーにもあてはまらない(またはあてはめたくない)と感じる人が自らを queerと呼ぶようになってきています。同性愛者が自分や仲間を queerと呼ぶには差し支えないのですが、異性愛者が同性愛者に向かってqueerと呼ぶのはやめたほうがいいです。

おおぉ、そういえば、アメリカのバンドR.E.M.のマイケル・スタイプが、自分のセクシュアリティを「もっと流動的なもの(more fluid)」とし、自分がゲイともバイとも断言できないと(インタビューで)答えていたのを思い出します。

余談:
言葉の一つ一つを調べる前に、アメリカ人に「queer とゲイってどう違うの?」とか、クロアチア人に「transrodna osoba って何?」などと聞いても知らない人が多かったので、これらの単語を覚えてもそれほどボキャブラリーの勉強の足しにはならないかもしれませんが、せっかく調べたので忘れないようにブログに載せておこう思いました!

関連記事:
インターセクシャルのジュディさんの手記(英語)
(生まれたときは性不明だったが女として育てられたジュディさんが、男性になり、女性と結婚して子供をもうけるまでの人生)
Queer について(ウィキペディア、英語)

ブログ内関連記事:
クロアチアの同性愛者たち(1)
クロアチアの同性愛者たち(2)
クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(1)

November 15, 2005

クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(1)



Breaking News EnglishというESL用のホームページで、クロアチアの同性愛のことが教材に取り上げられていました。やっぱりあの広告は世界のいろいろなところで話題になってたんです(笑)。無料のESL教材のわりには使いやすくて親切なサイトだと思います。(ESL授業用の教材ですが、学習者でも十分使えると思います。)MP3の音声ファイルもついているので、発音も聞けます。やはり語学学習者には、聴けるサイトが嬉しいですね。

Croatian homosexuals make a stand (初級) (追記:新しいリンクはこちら
Croatian homosexuals make a stand (上級) (追記:新しいリンクはこちら

トップページはここ。
http://www.breakingnewsenglish.com/

( --> クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(2)に続く)

ブログ内関連記事:
クロアチアの同性愛者たち(1)
クロアチアの同性愛者たち(2)

November 14, 2005

ヘンゼルとグレーテルがなぜクロアチアではイヴィツァとマリツァなのか



昨日の日記の続きです。グリム童話のヘンゼルとグレーテルがクロアチアではイヴィツァとマリツァと呼ばれていることを書きました。(クロアチアだけでなく、ほかの旧ユーゴスラビアの国々でもそうです。)なぜ?と思って調べてみたら、ヘンゼルとグレーテルはもともと Little Brother と Little Sister とあらわされていたのだそうです。しかし、このグリム童話の初版が出版されるときに、グリム兄弟が「ヘンゼルとグレーテル」という名前にしたのだとか。「ヘンゼル」や「グレーテル」という名前自体は、ドイツの昔話ではありふれた名前で、どこにでもいそうな男の子と女の子の名前というのがその選択の理由みたいです。

詳しいことはここで読めます。

解説つきの「ヘンゼルとグレーテル」(英語)
http://www.surlalunefairytales.com/hanselgretel/index.html

イヴィツァという名前は、9月15日の日記「クロアチア人とセルビア人の名前」にも書きましたように、クロアチアの名前というよりもむしろセルビアっぽい響きがあるそうです。とは言え、ありふれた名前というのは確かなので、「イヴィツァとマリツァ」もクロアチアの子供たちにとってはどこにでもいそうな男の子と女の子のお話に思えるはずです。それはグリム兄弟の意図の通りと考えれば、イヴィツァとマリツァでも全然おかしくない。

ボスニア・ヘルツェゴビナにブルース・リーの銅像が建てられる話のときでもそうでしたが、知らない者にとっては妙に思える話でも、理由や経緯がわかると「へぇ~なるほど~、それは無理も無いな。」と思えたりするんですよね。今回も、へぇ~と思いました!

November 13, 2005

クロアチアの狼女



クロアチアのこんな昔話を見つけました。

The She-Wolf(英語)
http://www.pitt.edu/~dash/type0402.html#shewolf

Animal Brides 系のストーリーに入っていますが、日本の「鶴の恩返し」もぜひ入れていただいきたい!

それから、このサイトでは、グリム童話 Rapunzelの新旧比較が興味深いです。1812年版と1857版の違いが対照比較されており、どこがどう違うのかが一目瞭然。
http://www.pitt.edu/~dash/grimm012a.html

セルビアの昔話もいくつか掲載されています。
http://www.pitt.edu/~dash/folktexts2.html

やっぱりクロアチアの童話で英語に訳されているもの(なおかつインターネットで無料で読めるもの)って少ないですね。

ついでに、日本の民話・昔話が読めるサイトもありました。

民話・昔話コレクション
http://www.digital-lib.nttdocomo.co.jp/nihonbunka/minwa/ (追記:リンク切れ)

最後にクイズです!

日本の子供にもおなじみのこの童話が、クロアチアでは Ivica i Marica(イヴィツアとマリツァ)と呼ばれています。さて、何の童話のことでしょう?

November 11, 2005

ヌーディストビーチ (2)



This summary is not available. Please click here to view the post.

November 10, 2005

ウィリアム・フォークナー 



いや、もうびっくり!!今ですね、米国ペンシルバニア大学のデイビス教授による、ウィリアム・フォークナー (William Faulkner) に関する講義を聴いてきたところなんです。もちろん日本にいても無料で参加できますよ、インターネットでの講義ですから!

アメリカの南部を描いた作家フォークナーが好きな人や、本場アメリカの大学の講義を(英語で)聞いてみたい人には特に視聴をオススメします。フォークナー関連の資料もたくさん閲覧できます。

私はフォークナーでは特に、短編の「あの夕日」(That Evening Sun)が大好き。これに登場するコンプソン家の子供たちが大人になって出てくるのが長編「響きと怒り」です。私がいわゆる「意識の流れ」手法と初めて出会ったのも「響きと怒り」でした。登場人物の頭の中の、風のように流れていく思考を、テレパシーで読んでいるような・・・そんな不思議な感動がありました。

参考:
「意識の流れ」手法(ウィキペディアより)

講義を無料で聴く方法

Light in August 「八月の光」
The Sound and the Fury 「響きと怒り」
As I Lay Dying 「死の床に横たわりて」

上の3作品の講義がそれぞれビデオに収録されています。詳しい解説も読めます。ただし、オプラさんのブッククラブに入会(無料)してログインしないと閲覧できません。オプラ・ウィンフリーは、アメリカのテレビのトークショーの司会者で、女性に絶大な人気があります。彼女の番組「Oprah」は、世界の100カ国以上で放映されているそうです。もちろんクロアチアでも見られます。そのオプラさんの番組のホームページに「オプラのブッククラブ」というのがあり、本の情報やディスカッションの場を無料で提供しています。フォークナーの情報(FAULKNER 101というコーナー)も満載。おいしすぎ~。「Oprah’s Classroom」というセクションは会員だけに公開されている部分で、フォークナーの講義のビデオもその中にあります。ちなみに、オプラさんはミシシッピー州の生まれで、複数のフォークナー作品に出てくる架空の地域ヨクナパトーファ郡もミシシッピー州です。

サインアップするにはここから!(無料)
https://www.oprah.com/membership/member_new_profile.jhtml (追記:リンク切れ)

追記:残念ながら、現在はもう見られません。

響きと怒り (講談社文芸文庫)

A Summer of Faulkner: As I Lay Dying/ The Sound and the Fury/ Light in August
Oprah's Book Club Summer 2005: A Summer of Faulkner: Three Novels: As I Lay Dying, The Sound and the Fury, Light in August (Vintage International) [ペーパーバック]

November 9, 2005

ボスニア語とクロアチア語の聖書



クロアチアの宗教の話が出たところで、聖書(クロアチア語、ボスニア語)がダウンロードできるサイト(外部サイト)をご紹介しておきます。
  • http://www.bibletoyou.com/download.html (追記:リンク切れ)
PDF形式で何種類かありますが、クロアチア語の学習をしているみなさんにおすすめなのが次のような対訳版です。

English-Croatian Parallel Bible Old and New Testament, pdf
English-Bosnian Parallel Bible Old and New Testament, pdf
English-Bosnian or Croatian Parallel Tract, pdf

また、クロアチア語とボスニア語の違いを軽ぅ~く説明している、
Croatian and Bosnian language differences explained, pdf 
なんていうファイルもダウンロードできます。(英語)

クロアチア語に限らず、外国語で書かれた本を何でもいいから無料でダウンロードしたい場合、聖書や昔話などを探すと手っ取り早いです。日本語訳もインターネットで見つけやすいですし。英語版とクロアチア語版と日本語版を対照させて読むと、短時間でいろいろな単語を覚えられますよ。ただし、聖書などの場合は、言い回しが堅くなります。

聖書の知識は、西洋の絵画や美術史を理解するのにも非常に役立つので、美術が好きな人にも特におすすめです。

追記(2014年6月):同種のサイトを見つけました。クロアチア語版と英語版の聖書を並行させると、照らし合わせながら読めます。
http://www.wordproject.org/bibles/parallel/croatian/index.htm

ブログ内関連記事:
キリスト教の聖人たち
「アンジェラの灰」とキリスト教の聖人たち
クロアチアの聖人たち

November 8, 2005

クロアチアの同性愛者たち(2)



(追記&注意 2017年1月:このページには古い情報が含まれています)

クロアチアの同性愛者たち(1)の続きです。

26歳と14歳の同性愛者のカップルの存在が公表されて、「えっ?!」と思ってしまった私ですが、調べてみたらこれは法的にみても全然問題ないみたいです。インターポール(国際刑事警察機構)のホームページによると、セックスをしても違法にならない年齢は、クロアチアでは14歳。異性結婚に関しては、親の承諾なしに結婚できる年齢が18歳です。ただし、特別な理由が立証された場合、16歳才以上なら結婚を認められることがあります。(詳しい記事はここ。)

そして日本は、さらにその下をゆく13歳!(記事はここ。)知らなかった・・・。これは、刑法177条の、「暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。」*1というのが根拠のようです。「十三歳未満の女子」に対しては、「暴行又は脅迫を用いて」と書かれていないところがポイント。

別の言い方をすれば、13歳未満の女の子とセックスをすれば何が何でも違法(たとえ合意の上でも)で、13歳以上ならば双方の合意があればよい(ただし暴行や脅迫をした上でのセックスなら違法)とも取れるわけですね。「女子」(原文では「婦女」)となっているので、これがもし13歳未満の男の子とのセックスだと、別の刑が適用されるそうです。(これよりも軽い刑。)

さらに、都道府県の条例によっても規制されていますが、「青少年に対して、みだらな性行為又はわいせつ行為をしてはならない。」というように表現がかなりあいまいで、どこからどこまでが「みだら」なのかよくわかりません。条例を破ったときの刑も軽いです。(一般的に、「青少年」というのは、未婚の18歳未満だそうです。)

そういえば、中学生以下のセックス禁止条例案(東京都)なんていうのも去年話題になっていましたが、結局どうなったんでしょうかね???

さて、ほかの国ではどうでしょう。ゲイタイムズの gay guide (UK & world wide)で国別に調べることが出来ます。
(追記:その後、アドレスが変わりました http://www.gaytimes.co.uk/HotSpots/GayGuide.aspx

show me the WORLD というところで好きな国を選びます。(すべての国が載っているわけではありませんが。)そして、Age of consent というところの数字を見ると、合法的にセックスできる年齢がわかります。ちなみに、日本を調べると 13/17 となっており、全国的には13歳だけど地域の条例により17歳となることが多い、ということが説明されています。

ちなみに、タジキスタンではゲイのセックスは違法で、レズビアンのセックスはOKだそうです。なぜ?!と思って説明を読んでみると、

The legislation of Tajikistan (Section 125.1) still follows the corresponding Section 121 from the Former Soviet Union, which only specifically criminalizes "anal intercourse between men". Lesbian and non-penetrative gay sex between consenting adults is not explicitly mentioned in the law as being a criminal offense.

だそうです。ゲイのアナルセックスだけは禁止で、ほかの場合は法律に書かれていないから一応合法。これは旧ソ連の法律に基づくそうです。そこで、今のロシアの法律を調べてみると、ロシアでは1993年に法律が変わり、同性愛が合法になったとのこと。へぇ~。

同性愛の性行為の問題だけに留まらず、同性結婚を認めるか認めないか、また同性愛のカップルが養子をとるのを合法とするか違法とするかなどなど、複雑な問題がいっぱい。同性愛の人たちが生きていくのって大変なんですね・・・。

最後にまとめとして、クロアチアの同性愛運動のことが読めるサイトを載せておきます。

ブログ内関連記事:
クロアチアの同性愛者たち(1)
クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(1)
クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(2)
*1:明治四十年の原文では「暴行又ハ脅迫ヲ以テ十三歳以上ノ婦女ヲ姦淫シタル者ハ強姦ノ罪ト為シ二年以上ノ有期懲役ニ処ス十三歳ニ満タサル婦女ヲ姦淫シタル者亦同シ」 注:2004年の改正で、二年から三年に引き上げられた

November 7, 2005

クロアチアの聖人たち



クロアチアでは外国名はそのまま表記され、セルビアではセルビア語の発音に直されて表記されることを以前書きました。(8月26日の日記参照:クロアチア語とセルビア語の違いを簡単に見分ける方法!(1)

例: ハリー・ポッター

クロアチアでは Harry Potter (英語と同じ)

セルビアでは Hari Poter (Хари Потер)

しかし、これが聖人の名前になると、クロアチアでもとことんクロアチア語っぽく直されるようです。

例えば、「神学大全」を作ったことでも有名な聖人トマス・アクィナス(アキナス)はクロアチアでは Toma Akvinski と呼ばれています。彼はイタリア生まれなのに、スラヴ系の名字である ski がついていますね。また、ハリーの名字である「potter」 の pot を日本語にすると壺、瓶、鍋などになりますが、それを日本風の名字にして壺井ハリーとか壺田針夫とするような行為もアリです(笑)。そうすれば誰でも(子供でも)発音できるし、なじみやすく感じるからでしょう。

さて、クロアチア人で有名な聖人・福者といえば アロイジエ・ステピナツ(Alojzije Stepinac)です。1998年にクロアチアのマリア・ビストリツァで、クロアチア訪問中だったローマ教皇故ヨハネ・パウロ二世によって正式に福者(聖人の前の段階)に加えられました。

ザグレブの大司教だったアロイジエ・ステピナツの人生はこちらで読めます。

http://saints.sqpn.com/blessed-alojzije-stepinac/(英語)
http://hr.wikipedia.org/wiki/Alojzije_Stepinac(クロアチア語版ウィキペディア)
http://en.wikipedia.org/wiki/Aloysius_Stepinac(英語版ウィキペディア)

2005年版カトリック・カレンダー(キリスト教関連のイベントと聖人の名前がクロアチア語で表示されています。)
⇒ http://www.zupa-vela-luka.hr/kalendar.asp(追記:リンク切れ)
http://www.ofm.hr/index.php?...(追記:リンク切れ)

わたしの友人(クロアチア人)には、ちっちゃなサイズのカトリック・カレンダーをいつも携帯している人がいます。その人にとっては、お守りのようなものだそうです。(たくさんの聖人の名前が載っているから。)しかし、その人がとりわけ信心深いというわけでもなく、教会にもほとんど行かないそうです。かくいう私も特別に信仰深くはないけれどお守りはしっかり携帯しています(^^;)

参考:
en.wikipedia.org/wiki/Name_days_in_Croatia

ブログ内関連記事:
キリスト教の聖人たち
「アンジェラの灰」とキリスト教の聖人たち
2月29日の守護聖人は誰?(クロアチアのうるう年)

November 6, 2005

クロアチアの同性愛者たち(1)



クロアチアやバルカン半島の文化を理解するには、宗教の知識がどうしても必要になってきますね(泣)まず、CIAのThe World Factbookによれば、クロアチアの人口の87・8%がカトリック教徒。(2001年)

Roman Catholic 87.8%, Orthodox 4.4%, other Christian 0.4%, Muslim 1.3%, other and unspecified 0.9%, none 5.2% (2001 census)

クロアチアはカトリックの国と呼んでも差し支えない数字だと思います。

先月、このクロアチアで同性愛の問題が話題になっていました。カトリック社会で同性愛はタブー視されているということで、ゲイやレズビアンであることを隠す人がもともと多いそうです。同性愛者であることがバレると白い目で見られたり攻撃されたり、はたまたそれが暴力や犯罪に発展したり。そこで、偏見をやめよう!と社会に訴えるために、クロアチアの同性愛者たちがこんな広告を自国の複数の新聞と雑誌に載せました。
http://comingout.gay.hr/ (追記:リンク切れ)

「これ以上隠れたくない。("Ne želim se više skrivati" = "I don't want to hide any more.")」という声明のもとに、約1200人の同姓愛者が、自らの名前を公表したものです。例えば、最初の Dijanaさんは、26才のレズビアンです。次は、Alenさん(18才、バイセクシャル)と Damir さん(20歳、ゲイ)のカップル。

これに関する詳しいことは、BBCの新聞記事でも読めます。(英語)
Croatia's homosexuals go public
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/4331958.stm

この広告自体とても面白い試みだと思いますが、それ以上に、クロアチアにどんな名前があるかを見ているだけでも私にとっては非常に興味深かったです(性別も簡単にわかるし!)

余談ですが、26才と14才のゲイのカップルの名前があるんです。24歳の間違いじゃないかと目を疑ってしまいました。ゲイであることよりも、14歳の未成年で26才と付き合ってること自体が衝撃的では?!( --> クロアチアの同性愛者たち(2)に続く)

ブログ内関連記事:
コで終わる男性名
クロアチア人とセルビア人の名前
クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(1)
クロアチアの同性愛についての記事がESLの教材に(2)

関連語句

gej, gay, homoseksualac ゲイ(同性愛の男性)
lezbijka, homoseksualka レズビアン(同性愛の女性)
biseksualac バイセクシャル(両性愛)の男性
biseksualka バイセクシャル(両性愛)の女性
heteroseksualac ヘテロセクシャル(異性愛)の男性
heteroseksualka ヘテロセクシャル(異性愛)の女性

November 5, 2005

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のセルビア版



「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のクロアチア版は Harry Potter i plameni pehar でしたね。(11月3日の日記参照:「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のクロアチア版」)それではセルビア版はどうでしょう?

セルビア版は Hari Poter i vatreni pehar (キリル文字で Хари Потер и ватрени пехар) だそうです。第1巻の時とは違い、これはクロアチア版とほとんど同じ意味ですね。

plamen = 炎 flame
vatra = 火 fire

なので、plameni も vatreni も「燃える」という意味になります。今回の文法はシンプルでよかった(^^;)

ブログ内関連記事:
ハリー・ポッターのクロアチア語版とセルビア語版を比較 (3)

November 3, 2005

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のクロアチア版



もうすぐ公開される映画「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のクロアチア版の題名を文法解析してみます。(って、そんな大げさなものではありませんが!)

英語の原題
Harry Potter and the Goblet of Fire

クロアチア版
Harry Potter i plameni pehar

Harry Potter i は、第一巻のときと同様に、「ハリー・ポッターと」の部分。

plameni は、炎(plamen)という名詞がもとになっていて、「燃えている、flaming」という言葉の男性形になります。

燃える-flaming

plameni(男性形)
plamena(女性形)
plameno(中性形)

peharは言うまでも無く「ゴブレット」です。これは男性名詞なので、やっぱり男性形のplameniを選んで plameni peharとなります。つまり、「燃える(燃えている、炎を出している)ゴブレット」というわけです。文法的には「ハウルの動く城」のときと同じですね!(動く城 = pokretni dvorac)(詳しくは10月1日の日記にあります。)

動く-moving

pokretni(男性形)
pokretna(女性形)
pokretno(中性形)

ちなみに、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、デロリアン(車)が通ったあと、道に炎が噴き上がりますが、あれをクロアチア語では何というと思いますか?(^^)

答え:

plameni trag =「燃える道 (a flaming trail)」

ブログ内関連記事:
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のセルビア版

November 2, 2005

「アンジェラの灰」とキリスト教の聖人たち



クロアチアの祭日「諸聖人の日」で私が思い出すのが、フランク・マコートの自伝「アンジェラの灰」です。そのなかに、フランク少年が聖人伝に夢中になる場面があります。

アイルランドの極貧の家庭に育つ13歳のフランクが、意地悪なおじさんに言いつけられて図書館に本を取りに来ていると、雨が降り出しました。本が濡れるといけないので雨が止むまで聖人伝を読んで待つように、と司書に勧められたフランク少年は、仕方なくいやいや読み始めます。しかし、実際に読んでみると、聖人たちの人生はどんなホラー映画よりも怖かった!例えば、聖クリスティーナ(Christina the Astonishing)はなかなか死なない。胸を切り取られる刑に処されたクリスティーナは、その切り取られた胸を判事に投げつける。そのとたんに判事は耳が聞こえなくなり物も言えない盲人になった。そして矢の刑になると、全ての矢がクリスティーナの体にあたって跳ね返り、矢を射った兵士たちが死んだ。煮え返る油のなかに放り込まれたクリスティーナはその大釜のなかでラクラクとうたた寝。最後は首を切られてついに息絶えた。

いつの間にか雨が止んだことにも気が付かず、フランク少年は夢中で聖人伝を読んでいます。それを見た司書が非常に感心して、この子は将来聖職者になる素質があるかもしれない、とフランク少年の母親に手紙を書きます。普通は子供は図書カードを持てないし、ひとりで図書館に来ることも許されていなかったのに、フランク少年は自由に本を読むことを許され、全4巻の聖人伝を思う存分読めるようになりました。

このエピソードを読んで、キリスト教にほとんど縁が無い私でも、なんだか聖人伝を読んでみたくなりました(笑)「アンジェラの灰」にはほかにも愉快なエピソードがいっぱいで、欧米でベストセラーになりました。

また、この本は出来れば英語で読むのがおすすめです。フランク・マコートは、言葉の調子に気を使う人で、独特なリズムがあります(アイルランドなまりも含まれます)。でもそれが全然くどくなく、鮮明で軽快。子供の頃からシェイクスピアが大好きだったフランクは、大人になってから英語の先生になりました。

"When I look back on my childhood I wonder how I managed to survive at all. It was, of course, a miserable childhood: the happy childhood is hardly worth your while. Worse than the ordinary miserable childhood is the miserable Irish childhood, and worse yet is the miserable Irish Catholic childhood."

上は、のちに作られた映画「アンジェラの灰」でも引用されているフレーズです。カトリックのアイルランド人の悲惨な子供時代を描いた話・・・これは決して大げさではなく、本当に不幸続きの幼少時代なのですが、フランク・マコートのユーモアが沢山ちりばめられていて、非常におもしろい本です。1940年ごろのアイルランドの子供がカトリック社会の影響を受けながらどんな風に育ったかがわかります。

クロアチアのカトリックの子供はどんな風に育つのかな?

ブログ内関連記事:
キリスト教の聖人たち
クロアチアの聖人たち

原題:Angela’s Ashes
著者:Frank McCourt
アンジェラの灰 (上) (新潮文庫)
アンジェラの灰 (上) (新潮文庫)
Angela’s Ashes
Angela's Ashes

November 1, 2005

キリスト教の聖人たち



クロアチアのザグレブにあるアメリカ大使館のホームページにこんなお知らせが出ていました。

The U.S. Embassy in Zagreb would like to inform the public that the Embassy will be closed on Tuesday, November 1, 2005, because of a Croatian holiday (All Saints Day).

Američko veleposlanstvo u Zagrebu ovim putem obavještava javnost da će zbog hrvatskog praznika (Svi sveti), veleposlanstvo biti zatvoreno u utorak, 1. studenog 2005. godine.

今日11月1日は、Svi sveti(カトリックの「万聖節」または「諸聖人の日」)ということで、クロアチアでは祭日なんですね。英語ではAll Saints Dayといいます。すべての聖人と殉教者を祭る日ですが、家族や親戚のお墓を訪れて花を飾ったりキャンドルをともしたりするのだそうです。(なんだか日本のお盆みたい?!)

聖人伝が読めるホームページのリンクを載せておきます。ご自分のお誕生日の守護聖人を探してその生涯を読んでみたら、意外と興味深い発見があるかもしれませんよ。殉教者たちの人生はさすがに波乱万丈です。

聖人カレンダー365日(日本語)
http://www.pauline.or.jp/calendariosanti/index.php

聖人暦(ウィキペディア、日本語)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E4%BA%BA%E6%9A%A6

Saints & Angels at Catholic Online(英語)
http://www.catholic.org/saints/

Patron Saints Index (英語)
http://www.catholic-forum.com/saints/indexsnt.htm

ブログ内関連記事:
「アンジェラの灰」とキリスト教の聖人たち
クロアチアの聖人たち

当サイト内に掲載されている内容・コンテンツの無断転用ならびに無断転載をお断り致します。
ご協力ありがとうございます。