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July 25, 2007

もう東欧と呼ばないで!



前回の日記で、旧ユーゴスラヴィア諸国とその周辺を「東欧」と呼んだら、案の定クロアチア人の友人に、「東欧じゃなくて、『中欧』って書いて!」とつっこまれてしまいました。私も、英語で書くときは Central Europe(中欧)という言い方をするものの、日本語で書くときは「東欧」のほうがなんとなくしっくりくるんですけど・・・。「中欧」という呼び方は、その地域に詳しい日本人にはもうだいぶ定着したでしょう。しかし、それ以外の人にとっては、「東欧」のほうが分かりやすくありませんか?

東欧

もともと「東欧」という呼び方には、「ヨーロッパの東に位置する」という地理的な意味と、「社会主義の国」という政治的な区分と、二つの意味がありました。スロヴェニアやクロアチアを含むバルカン半島の人々の多くは、命がけで社会主義の旧ユーゴスラヴィアから決別を成し遂げたという意識があるため、社会主義を連想させる「東欧」という言葉が好まれないようです。

トルコはヨーロッパ?

現在トルコは欧州連合(EU)へ加盟申請中です。ヨーロッパのひとに「トルコはヨーロッパか」と問うと、これまた結構意見が分かれてしまいますが、ヨーロッパであるという意見が結構多いのは確か。一方、日本人にとって、トルコはむしろ「アジアの一部」という意識のほうが強いと思います。NHKテレビのミニ語学講座「アジア語楽紀行」でもトルコ語が扱われていたように、日本から見るとトルコはやっぱりアジア。これのような意見のズレは、政治的区分と地理的な区分の間で生じるようです。このトルコを外してヨーロッパを見ると、バルカン半島は地図上で見ても東欧という感じです。トルコをヨーロッパに含むならば、確かに中欧と言える位置になりますね。また、地理的な区分において、ヨーロッパとアジアを分けるのはウラル山脈と考えれば、トルコはヨーロッパにもなりえるでしょう。

旧東欧

「中欧」だと日本人にはわかりにくいということで、そのかわりに「旧東欧」と呼ばれることがありますが、これもちょっと気の毒な気がします。東欧とはおさらばしたかったはずなのに、これじゃ過去の社会主義との結びつきがかえって誇張されている・・・「むかし社会主義だった場所ですよ~」みたいな。

中欧

英語では、旧ユーゴスラヴィアの地域を "Southeastern Europe" とか "Central Europe" などと呼ぶのが既に定着しています。日本語だと、「南東欧」とか「東南欧」なんて呼ぶよりは、「中欧」のほうがすっきりしていていい感じがします。また、世界時間でも、バルカン半島は中欧(中央ヨーロッパ)の時間帯の中に入っていますから、私もなるべく今後は「中欧」と書く努力をするようにしますね、忘れない限り!

日本の辺りだって、ヨーロッパからみたら極東(Far East)とか言われて東の極地的な扱いをされる場合がありますけど・・・気にしないでおきましょうか( ̄ー ̄)

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