August 22, 2006

チェコ語とクロアチア語



クロアチア語でニワトリ(雌鶏)のことを、 koka(コカ)、 kokoš(ココシュ)、 kokoška (ココシュカ)などというそうです。これを聞いたとき、私は「え、ココシュカ?あのオスカー・ココシュカの苗字??」と思ってしまいました。オスカー・ココシュカ(Oskar Kokoschka 1886-1980)は私が中学生の頃から好きだった画家で、20世紀初頭のオーストリアで活躍しアルマ・マーラー(音楽家グスタフ・マーラーの未亡人)とのロマンスなどでもよく知られています。ココシュカとクロアチアの間に何かつながりがあったのかちょっと調べてみました。

オスカー・ココシュカ

グッゲンハイム美術館のホームページによれば、ココシュカはオーストリアの Pöchlarn という町で生まれウィーンで育ったものの、チェコ系の血を引いていて、ナチス政権から逃れるために1935年にはチェコのプラハに移住し2年後にチェコスロバキアの市民権を獲得したとのこと(その後1938年にイギリスに移転)。なるほど、チェコ語とクロアチア語はどちらもスラヴ語系(チェコ語は西スラヴ語系、クロアチア語は南スラヴ語系)ですから、どうりで響きが似ているわけです。「ココシュカ」という言葉がチェコ語でどういう意味なのか結局私にはわかりませんでした。


Oskar Kokoschka 
Photo originally uploaded by apieceofdenise.

チェコ映画 "All My Loved Ones" (Vsichni moji blízcí) 

だいぶ前になりますが、1999年に製作されたチェコ映画 Vsichni moji blízcí を見たとき、やっぱりクロアチア語に似た言葉がたくさん出てきました。私は英語版(英語の字幕付き)で見ましたので日本語版の題名などはわかりません。英語版では "All My Loved Ones" という題がついていました。プラハで幸せに暮らしていたチェコの家族(ユダヤ人)が、ナチス占領によりどんどん追い詰められていく様子や、669人のユダヤ人の子供たちをプラハからイギリスに脱出させた英雄、ニコラス・ウィントンも描かれています。映画の終盤では非常に悲しくなってしまいますが、何もかもうまくいっていた頃の家族の穏やかな日常生活のシーンなどがとても素敵でした。

この映画を見ている際よく耳に入ってきたのが「ドブレ」とか「ドブリ」という言葉で、クロアチア語の dobro/dobar/dobra (英語の good にあたる) とほぼ同様に使われていたように思います。クロアチア語でおはようは "Dobro jutro."(ドブロ・ユートロ)といいますが、チェコ語では "Dobré jitro." または "Dobré ráno." になるそうです。本当によく似ていますね。

参考:
All My Loved Ones (Vsichni moji blízcí)(Internet Movie Database)
Nicholas Winton(ウィキペディア、英語版)

当サイト内に掲載されている内容・コンテンツの無断転用ならびに無断転載をお断り致します。
ご協力ありがとうございます。