ウクライナ経由のロシア産天然ガスの供給停止問題について、それに関する報道を読むにつけ、あちらの住民はさぞかし大変だろうと思っていたのですが、実際に大変な人もいれば、全く平気な人もいるんですよ、この差にはちょっと驚いてしまいました。クロアチアではガスの備蓄がありますので、いまのところは大丈夫そうです。ガス備蓄のない地域、たとえば、クロアチアのお隣りのボスニア・ヘルツェゴビナなどですと、厳しい状況下にある人も多くなります。1月10日の朝日新聞にこんな記事が出ていました。
「零下10度のガス停止 凍える東欧、まき求め長い列」
(前略) ガス備蓄が全くないボスニア・ヘルツェゴビナでは、10万世帯以上が寒さに凍えている。ここでも電気ヒーターが売り切れ、まきを買う長い列ができた。石油など代替燃料も1週間でなくなる見込みで、市民らはパニックに近い状態という。
ガス使用制限などで工場閉鎖も相次ぎ、ハンガリーでは、日本の自動車会社スズキの工場も12日までの生産停止を決めた。備蓄があるために市民生活への影響が比較的少ないスロバキアやルーマニア、クロアチアでも政府が非常事態宣言を出し、ガスの使用抑制を呼びかけた。
http://www.asahi.com/international...
しかし、ボスニア・ヘルツェゴビナの友人らに連絡を取ってみたところ、モスタルでもゼニツァでも「こっちは平気だし、特に問題ない」し、「危機感も感じていない」とのことでした。どうして?!なぜそんなに平静でいられるのでしょうか? よく聞いてみると、「戦争中はガスも水道も止まったんだよ。それで大勢の人たちが凍死したり餓死したんだ。」とのこと。あぁ、なるほど・・・!戦時中、ガスが何年間も止まった地域がたくさんあり、そういう経験がある人は、ガスが止まっても驚かない心構えのようなものがあるのですね。ガスよりも電気のほうが信頼がおけるので、一戸建ての家の多くはもともとガスを全然使わずに、電気だけ、または電気と薪と石炭だけで生活するのが珍しくなく、ガス設備の全くない町も多いそうです。
ただし、都市部などでガスに頼っている集合住宅(アパートとか)に住んでいると、それこそ先述の新聞記事のように、ガスが止まると大変なことになると思われます。それでも、私が聞いた話では、たいていの現地人は、たとえガスを使うアパートに住んでいても、電気による暖房器具を常備しているものだということです。
この「戦時中」は、クロアチアもボスニア・ヘルツェゴビナも、ユーゴスラビアという一つの国の中に存在していましたから、どちらの地域でも当時の状況は大体似たようなものだったと思います。
カルロバツでは
さて、昨日のご質問のカルロバツ(クロアチア)では、2、3年前に石油からガスに切り替わったそうですので、そのご家族がアパートに住んでいるのならば、ガスを使って暮らしているはずです。しかし、クロアチアの非常事態宣言がまだレベル7に到達していませんから、一般家庭のガス供給は停止されていません。(いまのところはレベル5やレベル6で、簡単に言ってしまえば「ガスをなるべく使わないようにしてください」、という段階です。レベル7になるとガスが止まります。)ですので、いまのところ、大丈夫だと思います。もしも一戸建てに住んでいるのであれば、ガス設備はもともと無いかもしれませんよ。カルロバツのガス設備についての詳細は、またの機会ということにさせてください。今日はこれで寝ます。今日も寒い!!