September 7, 2007

擬声語が綴りにくいのはなぜ?




Twin Parasols
Originally uploaded by amikoon Flickr
前回の日記「動物の鳴き声をクロアチア語で」の続きです。

擬声語の使われ方

擬声語・擬音語の書き表し方は、クロアチアでも人によって結構違うんです。たとえば、ブタの鳴き声を rok rok という人もいれば、grok grok という人もいるし、猫の鳴き声を mjau mjau と書く人もいれば、mijau mijau と綴る人もいます。これは、たとえば日本人がカエルの鳴き方をケロケロとかゲロゲロと言ったり、猫をニャーニャーとかミャーミャーと言ったりして、いろいろ違いが出る現象と同じなのかな、と私は思っていました。

でも、不可解なのが、「書き表し方が分からない」、と戸惑いを見せるクロアチア人がいること。どうしてそんなに混乱してしまうのでしょうか。好きなように綴ればいいのに?でも、これにはそれなりの理由があるようです。

まず、日本語のオノマトペ(擬音語、擬声語、擬態語)の数は、ヨーロッパの言語に比べると非常に多いと言われています。しかも、日本語では、書き言葉であってもオノマトペが頻繁に使われるので、ほとんどの人が見慣れているし、書き慣れてもいますよね。一方、クロアチア語のオノマトペというものは、主に話し言葉で使われるため、いざ書き綴るとなると戸惑う人が出てくるのです。フランス語でも同様に、オノマトペは書き言葉ではあまり使われないそうです。(漫画本以外では。)

また、これはかねてから私が感じていたことですが、日本人と欧米人では、擬声語の使い方がそもそもかなり違うと思います。たとえば、日本人は、「犬がワンワンと鳴いた」というとき本当に吠えたり唸ったりはあまりしないものです。日本人は「ワンワン」の部分を叙述的に言いますが、欧米の人が擬声語を使うときは、本当に動物の鳴き声を真似るというか、臨場感を込めて音を再現しようとする場合が多いです。だから余計にその音を文字にして表すのが難しくなるのかもしれません。

クロアチア語でカエルのように鳴く

ちなみに、「カエルのように鳴く」という動詞は kreketati なので、それを過去形にして「カエルが鳴いた」というとこうなります。(つまり、書き言葉ではこう書かれます。)

"Žaba je kreketala."

そして、カエルの鳴き声の擬声語は、こんなふうにいろいろ書き表すことが出来ます。

kre, kre (最も一般的なのがこの「クレックレッ」)
krek, krek
kree, kree
krek, kre 
など

それで、「カエルがケロケロと鳴いた」と敢えて表すなら、

"Žaba je kreketala: kre, kre!"

として、クレックレッのところは本当にカエルっぽい声を出すのです。日本人よりも、海外の人の方が、音真似がうまい気がします。慣れてるからかな・・・。

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