この家にクロアチアから記者が訪れるのは初めてのことで、しかも、渋滞の多いLAにもかかわらずゴランは約束の時間ぴったりにこの男性記者を迎えに現れ、感心させています。クロアチア社会では、時間に遅れるということがそれほど珍しくないようですから、クロアチア人記者にとっては余計に衝撃的だったのかもしれません。
さて、ルカという役名(ゴラン自身の甥の名前)をゴランが自分で決めたということは広く知られていますね。でも、普通は配役以前に決まっているはずの役名を、なぜ役者自身が決めることになったのでしょうか?
実は、この役は元々 「Jovan」(ヨヴァン)という名前だったので、ゴランが、「君たちにはどうでもいいことかもしれないけど、僕にとっては大問題なんだよ!」と言って製作側を説得し、名前を変えさせてもらったのだそうです。
なるほど!ヨヴァンは、セルビア人男性の典型的な名前ですから、クロアチア人役には全く不適切なわけで、ゴランが反対したのも無理ありませんね。クロアチア人ならイヴァンとなるのが普通です。つまり、イヴァンのセルビア版がヨヴァンという感じなのです。ほかにも、 Žika、Sava、Bratoljub、とかセルビア人っぽい名前がいろいろありますけれども、その代表格がヨヴァン。私たちのホームページにもクロアチア人の男の子が登場しますが、その名前はもちろんヨヴァンとかではなく、イヴァンくんとなっていますw
対応表
- | クロアチア | セルビア |
---|---|---|
男性名 | Ivan イヴァン | Jovan (キリル文字では Јован) ヨヴァン |
女性名 | Ivana イヴァナ | Jovanka (キリル文字では Јованка) ヨヴァンカ |
そういえば、聖書でも、日本でヨハネと称される聖人が、クロアチア語版では イヴァン (Ivan) で、セルビア語版では ヨヴァン (Jovan、キリル文字では Јован) になっていました。英語ではジョン (John)ですよね。(参考:クロアチア語の文字)
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