クロアチアの隣国であるボスニア・ヘルツェゴビナの公用語は、ボスニア語、セルビア語、クロアチア語です。しかし、ボスニア語で書かれた本というのは多くありません。ボスニア・ヘルツェゴビナでクロアチア人が多く住む地域ではクロアチア語の本が売られ、セルビア人が多く住む地域ではセルビア語の本が売られています。概してセルビア語はキリル文字(ロシア文字)で書かれ、クロアチア語はラテン文字(英語で使われている文字と大体同じ)で書かれますが、実はセルビア語でもラテン文字で書かれた本がたくさんあります。特にボスニア・ヘルツェゴビナで売られているセルビア語の書物というのは、ラテン文字で書かれたものが多いそうです。(そのほうが読者層が広いですから、売りやすい。)
ここで私に疑問がわいてきます。
セルビア語もクロアチア語もほとんど同じ言語だし、両方ともラテン文字が使われている場合、どっちがどっちなのかをどうやって見分けたらよいのだ?!文法や語句を知らなくてもセルビア語とクロアチア語の違いを見分けられる方法が何かないだろうか?
ありました、ありました!
クロアチア人がセルビア語の本(ラテン文字で書かれたもの)を読むときに苦労する点は、外国名の表され方だそうです。クロアチア語では外国名はそのまま表記されますが、セルビア語では発音をセルビア語に直して表記される、という大きな違いがあります。たとえば宮本武蔵に関する本で、名前が Mijamoto Musaši となっていればセルビア語、Miyamoto Musashi とローマ字になっていればクロアチア語の本だと、だいたい推測できるわけです。
また、ハリー・ポッターはセルビア語では Hari Poter (Хари Потер) となり、クロアチア語では英語と同じように Harry Potter です。セルビア語の文献だと、もともとの名前がわかりにくくなってしまって、クロアチア人にとっては読みにくいといいます。しかし、クロアチア人が Harry Potter を英語風に発音するわけではなく、Harry Potter と表記しても発音はセルビア人と同じように Hari Poter(ハリ・ポテル)なのだそうです。
日本人もセルビア人みたいなことしてますよね。日本でも日本語の発音になおして「ハリー・ポッター」ですから。
⇒ クロアチア語とセルビア語の違いを簡単に見分ける方法!(2)に続く
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