May 15, 2008

地雷とクラスター爆弾



⇒ 昨日の日記「オーストリア=ハンガリー帝国時代の要塞跡」の続きです。

地雷


Dalmatia 396
Originally uploaded by monsterincon Flickr
周辺を小さな山(現地では丘と呼びますが)に囲まれているモスタルのようなところは、戦争になった場合、もしも敵に山を占領されたら・・・そこから撃たれ放題になってしまうのでとても怖いと思います。(参考:モスタルの丘

そういえば、アドリア海とスルジ山(丘)に挟まれているドゥブロブニク(クロアチア)も、戦時中、山頂と海からセルビア軍に撃たれて大打撃を被りました。上の写真はドゥブロブニクです。


また、最も被害が大きかった場所の一つであるサラエボ(ボスニア)などは、セルビア軍に完全包囲され身動き出来ない状態に。その状態を表した図がこの二つです。


06-30-05 2 Sarajevo - Tactical map
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map of conflict by panic
map of conflict, originally uploaded by panic on Flickr

サラエボがすっかり包囲されています。恐ろしいですね・・。陣取り合戦のような状態の中で、敵も味方も要所に地雷をたくさん埋めて、その地をお互いに奪われないようにしていたのでしょう。(実際にどのくらい地雷が埋められていたのかはこちらの記事で ⇒ バルカン半島の地雷地図

日本のクラスター爆弾

話を日本に移せば、島国であるこの日本も、敵に海から包囲されたり侵略される可能性が確かにあるわけです。それに備えて日本政府は、クラスター爆弾という、地雷に匹敵するような武器を保持しています。クラスター爆弾は、戦争が終わっても地面や地中に不発弾として残留し、犠牲者の95%が一般市民、しかもその大多数は子供という統計があります。

クラスター爆弾で手足を失ったセルビア人のブラニスラン・カペタノビッチさんが、先月のはじめ、講演などのため来日し、ニュースや新聞で取り上げられていたのをご覧になりましたか?私が聞いたテレビのニュースによれば、日本は国の防衛のためにクラスター爆弾を保有し、武力侵略を受けたら自国の沿岸に投下することにより敵の侵攻を防ぐつもりなのだそうです。でも、不発弾はおもちゃに似ているので、子供たちが近づき爆発するのだとのこと。

  • 日本人の皆さんは原子爆弾をよく勉強しているでしょう。クラスター爆弾と原爆の共通点は、どちらも一般市民が最も犠牲になることです
  • 日本にもクラスター爆弾があり、政府は「敵の上陸地点に投下する」と説明していますが、今まで、この攻撃的な兵器を自国領域に投下した国はないのです
(ブラニスラン・カペタノビッチさんの言葉より)

私は、地雷の問題は日本国内ではまさか起こりえない話だと思っていました。それなのに、第2の地雷といわれるクラスター爆弾を、防衛のためとはいえ自国に使おうとするだなんて。自分の首を自分で絞めるようなものではありませんか?自国民を犠牲にするような手段が、果たして防衛策といえるのでしょうか。

「こどもニュースで読むクラスター爆弾」に続きます。

参考:
クラスター爆弾:被害のカペタノビッチさん、名古屋で講演 /愛知(毎日新聞)(追記:リンク切れ)
http://mainichi.jp/area/aichi/news/20080417ddlk23040184000c.html
クローズアップ2008:クラスター爆弾禁止条約 日本に決断迫る肉声(毎日新聞)(追記:リンク切れ)
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080416ddm003030176000c.html
クラスター爆弾の被害者、日本政府の禁止条約調印求める(AFPBB News)
http://www.afpbb.com/article/politics/2378531/2833470
クラスター爆弾:禁止シンポジウム 政治の力が必要だ(毎日新聞)(追記:リンク切れ)
http://mainichi.jp/select/world/news/20080428ddm007030042000c.html

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