「千と千尋の神隠し」のクロアチア版の題名は、"Avanture male Chihiro" だそうです。avanture は、「冒険(avantura)」という語の複数形ですから、直訳すると「小さな千尋の大冒険」「千尋ちゃんの冒険」のような感じでしょう。英語版("Spirited Away")と同様、やはりクロアチア版でも「神」という文字はタイトルに含まれていません。
クロアチアに複数の神々は存在しない?
日本の考え方(特に神道)では、あらゆる物事のなかに神様が存在しても全然おかしくありませんよね。「千と千尋の神隠し」にもいろんな「神」さまたちが登場します。しかし、クロアチアのようなキリスト教圏において、神は本来一人だけ。神様がたくさん出てきてしまうと、クロアチアの子供を含め、大人にだって理解してもらえない可能性があります。その前に「もののけ姫」を見たことがある人なら、なんとなくその概念がわかるのでしょうけど・・・。とにかく、クロアチア版では、神々ではなく、duh(複数形は duhovi)、つまり精霊としてとらえられているようです。英語版でも、あの映画に出てくる神様たちは、すべて精霊(spirit)ということで訳されています。ただし、クロアチア語でこの duh というのは幽霊のことでもありますので、あれをすべてお化けのようなものだと思っている子供たちが少なくないかもしれませんよ。日本版のオリジナルを見たことがない友人に、「あの生き物たちは、日本語ではぜんぶ神さまなんだよ」、と教えたら、ものすごく驚いていました。
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