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February 27, 2007

クロアチアの書籍(その2:引用符)



--> 「クロアチアの書籍(その1:背)」からの続きです。

今回は、クロアチア語の引用符 (クォーテーションマーク) をみてみます。まず、和文では、会話や引用を表すときにかぎ(鉤括弧)「...」を使いますよね。英文だと、"..." (ダブルクォート) を使いますが、これは国によっていろいろ違います。フランス語では «...» (フレンチダブルクォート)や ―...(ダッシュ) になります。その他の国の引用符についてはウィキペディアでどうぞ。

引用符
http://ja.wikipedia.org/wiki/引用符

上記サイト(ウィキペディア)の一覧表(「各言語の引用符」)によると、クロアチア語では »…« と ›…‹ が使われるとされています。しかし実際のところ、現代のクロアチア語書籍の会話文では、英語のような "..." (ダブルクォート) も一般的に使われており、また、ちょっと古い本では、„…“ (ジャーマンダブルクォート)が使われたりもしています。

ハリー・ポッターのクロアチア語版で使われている引用符をを写真で確認してみます。

クロアチア語版
写真1 クロアチア語版 ダブルクォート

フランス語版
写真2 フランス語版 ダッシュ

英語版(アメリカ版)
写真3 ついでに、英語版(アメリカ版)も ダブルクォート

コンマと引用符を一緒に使うときの位置は?

写真1と写真3で、会話文の最後に打つコンマの位置の違いにお気づきになりましたか?アメリカ式では、会話文最後のコンマは引用符の中に打つというのが決まりです。一方、クロアチアでは、それを引用符の外に打つのが一般的です。


クロアチア語"Nemam", odgovori Harry.
英語"Thanks a million," said Ron.

我々のプロジェクトである「クロアチアの童話」ホームページには、「ヤゴル」というお話が3ヶ国語(クロアチア語、英語、日本語)で読むことが出来るようになっていますが、そこでも、「カンマの位置が違うのはなぜ?」と思われたかたがいらっしゃるかもしれません。理由はこういうことなのでした(。^_^。)

February 25, 2007

クロアチアの書籍(その1:背)



これから数回に渡り、クロアチアの本を観察してみようかな~と思っております。今回は本の背の部分です。題名の向きに注目。

Harry Potter i kamen mudraca
写真は、クロアチア語版のハリー・ポッター。背の部分を見ると、題名が下から上に向かって読むように印刷されていますね。

Harry Potter et le prisonnier d’Azkaban
フランス語版も同様です。

Letters from Camp
これを、アメリカの書籍と並べると、まったく逆なのがよくわかると思います。アメリカのは、背のところにある題名が、上から下に向かうということでしっかり統一されています。

じゃあ、クロアチアではどうなのかな? Flickr で調べてみました。

下の写真は、クロアチアの Gospic という場所の図書館だそうです。写真をクリックすると拡大しますので、本の題名をよく見てみてください。(さらに大きい拡大版へのリンクはこちら。)やはり両タイプあるものの、下から上に読ませる背が多いですね。実際、そちらのタイプのほうがクロアチアでは主流だそうです。ちなみに、フランスでも、背には両方向あるようです。


No Logo
Originally uploaded by reinvented

というわけで、アメリカの本とフランスの本とクロアチアの本を棚に並べると、題名の向きがごちゃごちゃになってかなり見づらくなります・・・。

--> 「クロアチアの書籍(その2:引用符)」に続く

February 15, 2007

pansion と apartman の違いは?



2月13日の日記「モスタルの宿」の続きです。

一流ホテルより安い宿泊施設と言われる、pansionapartman。どちらも外来語だと思われますが、違いが気になったので、もう少し詳しく調べてみます。

まず、洋もののクロアチア語辞典で調べると、

クロアチア語 英語
pansion pension
apartman suite

ペンションとスイートルーム・・・。ちょっとしっくりきません。だって、日本語で考えると、スイートルームはホテルの最上階とかにあるもので、なんだか豪華すぎます。クロアチアの apartman はもっと安いもののはずなんです。やっぱりカタカナ英語で考えてちゃだめだ~、ということで、英和辞典(Yahoo のプログレッシブ英和中辞典)をチェック。

英語意味
pension (主にヨーロッパ中部でまかないつきの)下宿屋;寄宿学校 
suite (ホテルなどの)特別室, スイートルーム(居間と寝室が一続きになっている豪華な部屋)

これでもよくわからない!ギブアップしてクロアチア人に聞いてみました。それによると、違いはこのような感じです。

  • pansion は、基本的にベッド付きの一部屋とバスルームだけで、キッチンがないから料理はできない。
  • apartman は、アパートのようにキッチン、居間、寝室、バスルームなどすべてが揃っていて、自分で料理が出来る。

とはいえ、apartman と pansion という言葉が混同して使われる地域(モスタルを含みます)が多いので、旅行者が宿を探すときにはどちらか一方に絞るのではなく、 apartman と pansion の両方を探したほうがよい、そして、部屋の形態はオーナーに直接聞かないとわからないのだそうです。

そういえばアメリカなどでも、motel や hotel や inn や B & B という言葉がけっこう混同して使われていますし、日本でも旅館・ホテル・ペンションに厳密な違いはありませんよね。(言葉の響きはだいぶ違いますが・・・。)おそらくその名前をつけた人の好みによるところが大きいのでしょう。

apartman と pansion の写真

モスタルの apartman と pansion の写真を Google で探してみました。

Pansion Salve Regina
http://salveregina.ba/index.php/en 追記:リンク切れ。新しいリンクはFacebook へ。
www.facebook.com/pansion.salveregina

Apartmani Konak
http://apartmani-konak.com/gallery.html

February 14, 2007

「あなたになら言える秘密のこと」



いま一番見たい映画がこの「あなたになら言える秘密のこと」。主人公ハンナの秘密とは、クロアチアの内戦に関係するものなのだそうです。予告編を見たら、なんだかとても重そうで、普段から重~い映画が好きな私はますます見たくなりました。物語の舞台が病室や油田掘削所ということもあり、スクリーンの色がモノトーンに抑えられていていい感じ。ロケ地がアイルランドやスペインというのも影響していると思います。ヨーロッパ的な渋みがあるというか。(監督のイサベル・コイシェはスペイン人。)

ただ、これは映画なのでまだいいですが、私が実際クロアチアの方々に戦争の体験談を聞くと、その悲惨さと恐怖が頭から離れなくなってしまったり、悪夢に出てきたりします・・・。この映画も相当覚悟して見に行かないといけません。(普通のホラー映画さえ怖くて見られないんです。)ハンナ役のサラ・ポーリーの独占インタビューと、映画の予告編は下のサイトでどうぞ。スクロールダウンすると、動画や映画のスケジュールがあります。この映画の製作国はスペインですが、キャストが話している言語は英語です。

参考(外部リンク):
  • サラ・ポーリー×イサベル・コイシェ監督のタッグ再び!「あなたになら言える秘密のこと」に込めた希望と再生(MovieWalkerより)
  •  (追記:リンク切れ)

    February 13, 2007

    モスタルの宿



    このブログでは、これまで旅行情報についてはほとんど触れたことがありません。というか、私の知らないことなので書けない、と言ったほうがいいかも・・・。でも、我々の大好きなモスタル(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)について、クロアチア語くらぶ BBS兼ゲストブック のほうにご質問を頂きまして、クロアチア人の友人が現地の人たちに聞いてくれました。せっかくですし、スペースの都合もあるので、このブログに書き留めておきます。私自身が体験した内容ではありませんけれども、ご参考までにどうぞ。まず、ご質問はこの2点でした。

    1、スプリットからモスタルへのバスについて
    2、モスタルでお勧めの宿

    スプリットからモスタルへのバスについて

    モスタルのバスターミナルで尋ねたら、毎朝6時にスプリットを発車する便を教えてくれたそうです。オフィシャルホームページはないようですが、下記のようなサイトで確認できます。でも、これを見ると、モスタルへのバスは結構何本も出ているんですよね。詳細は、電話で確認することをおすすめします。料金は20KMぐらい(約10~12ユーロ)だそうです。

    Bus station timetable search
    http://www.ak-split.hr/EN/vozni.red/index.html (追記:この時刻表検索は休止になりました)

    モスタルの宿について

    ホテルでは、Bevanda というのが有名ですがお値段が高くて一泊100ユーロ以上、Hotel Ero が80ユーロぐらい。安い宿もあるそうですが、質は期待できないとのことです。では、もっと安く済ませたい旅行者の皆さんはどうしているのかというと、アパート(アパルトマン)を借りるのだとか。一泊40~50ユーロで借りられるものがあるようですし、もっと安く済ませるには、モスタルの近くのメジュゴリエ(Međugorje)で借りたほうがいいかもしれないそうです。この施設は、クロアチア語で pansion とか apartman といいます。

    下記のサイトに行ってスクロールダウンすると、下のほうにPANSIONIというセクションがありますので、そこのリストを参考にしてみてください。
    http://www.mostar.ba/servisne-informacije.html

    pansion や apartmanって何?

    雰囲気が知りたいと思ってちょっと Google で調べてみたところ、こんな場所がありました。
    http://www.pansion-rose.ba/galerija.php

    見た限りでは、pansion や apartman は、アメリカのモーテルみたいなもの(?)という感じですね。

    ⇒ 2月15日の日記「pansion と apartman の違いは?」に続きます。

    ブログ内関連記事
    メジュゴリエに聖母マリア出現(1)

    February 10, 2007

    世界大会でそれはないでしょう~?!(ちなみに会場はスウェーデン)



    久しぶりに見ました、アルペンスキーのイヴィツァ・コステリッチ*1選手(クロアチア)!スウェーデンで行われた世界アルペンスキー選手権の男子スーパー複合では、残念ながら12位に終わりました。でも、積極的に試合に出ているようで、いろいろな大会で姿が見られるのは嬉しいものです。一方、妹のヤニツァ・コステリッツ選手は、体の調子が思わしくなく、今シーズンは休養中だそうです。

    それはそうと、トリノ・オリンピックのアルペン複合で優勝を果たしたリゲティ選手(アメリカ)に、とんでもないアクシデントが。順調に滑降していたら、なんと、係員が目の前でコースを横断!しかも本番中にですよ!?ぶつかりそうになったのでやむを得ず中断し、やり直しの機会を与えられました。しかし、滑り直しはしたものの失敗し、コースから外れてしまいました。かわいそう・・・これには私も心から同情いたします。周りをよく見ていなかった係員が、選手が滑降してくるのに気づいたときはもう遅く、移動しなきゃと思ったら深い雪に足をとられて早く歩けなかったんでしょうか?とにかく、ものすごいスピードで滑ってくるので、傷害事故にならなかったのは不幸中の幸いでした。それにしてもこんなことで残念な結果に終わるのはあんまりですね。

    大会の結果はこちら。(国際スキー連盟のホームページにて)

    ブログ内関連記事
    銀メダルおめでとう、イヴィツァ・コステリッチ選手!
    妹のヤニツァ・コステリッチ選手は金メダル!
    

    *1:日本のメディアではコステリッツと表記されることが多いのですが、このブログでは、クロアチア語本来の発音にあわせてコステリッチと呼んでいます。

    February 2, 2007

    「千と千尋の神隠し」、クロアチアでは何と呼ばれてる?



    先日から、「千と千尋の神隠し」に影響を与えたファンタジーの名作「霧のむこうのふしぎな町」について書いてまいりましたが、なんと、今晩の金曜ロードショーは「千と千尋の神隠し」なんですね!この「千と千尋の神隠し」、クロアチアではいったいどう呼ばれているのでしょうか。

    「千と千尋の神隠し」のクロアチア版の題名は、"Avanture male Chihiro" だそうです。avanture は、「冒険(avantura)」という語の複数形ですから、直訳すると「小さな千尋の大冒険」「千尋ちゃんの冒険」のような感じでしょう。英語版("Spirited Away")と同様、やはりクロアチア版でも「神」という文字はタイトルに含まれていません。

    クロアチアに複数の神々は存在しない?

    日本の考え方(特に神道)では、あらゆる物事のなかに神様が存在しても全然おかしくありませんよね。「千と千尋の神隠し」にもいろんな「神」さまたちが登場します。しかし、クロアチアのようなキリスト教圏において、神は本来一人だけ。神様がたくさん出てきてしまうと、クロアチアの子供を含め、大人にだって理解してもらえない可能性があります。その前に「もののけ姫」を見たことがある人なら、なんとなくその概念がわかるのでしょうけど・・・。とにかく、クロアチア版では、神々ではなく、duh(複数形は duhovi)、つまり精霊としてとらえられているようです。英語版でも、あの映画に出てくる神様たちは、すべて精霊(spirit)ということで訳されています。ただし、クロアチア語でこの duh というのは幽霊のことでもありますので、あれをすべてお化けのようなものだと思っている子供たちが少なくないかもしれませんよ。

    日本版のオリジナルを見たことがない友人に、「あの生き物たちは、日本語ではぜんぶ神さまなんだよ」、と教えたら、ものすごく驚いていました。

    ブログ内関連記事:
    「ハウルの動く城」がクロアチアでも劇場公開されました!ところが・・・
    クロアチア版の題名に「ハウルの」がついていない理由

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