March 18, 2006

この新聞記事はちょっとひどい



読売新聞のホームページにこんな記事が・・・。いかにも誤解を生みそうな書き方です。


旧ユーゴスラビア戦犯国際法廷(オランダ・ハーグ)の拘置施設で死去したミロシェビッチ被告(元ユーゴ大統領)の血液検査を行ったオランダ・フローニンゲン大学のドナルド・ユーヘス教授(毒物学)が13日、読売新聞の電話取材に応じ、被告が高血圧などの治療薬の効果を減ずる抗生物質を数か月にわたり服用していたことなどを明らかにした。

と始まっています。しかし、この一問一答形式の記事を読んでみると、この教授が言ったのは「被告が死ぬ2週間前に検査を実施し、通常ハンセン病や結核の治療に使われる抗生物質リファンピシンが検出された。」「自殺は彼自身や支持者たちの利益にならず、被告が自殺を図ったとは思えない。健康状態を自ら悪化させ、家族のいるモスクワへ渡り、戻らずに済むよう薬を摂取していたと解釈する。」などであり、あくまでも推測の域を出ていません。

読売新聞は、この記事の出だしの部分で、ドナルド・ユーヘス教授が「被告が高血圧などの治療薬の効果を減ずる抗生物質を数か月にわたり服用していたことなどを明らかにした。」と書いていますが、そんなことは全然明らかになっていないではありませんか!明らかになったのは、この薬物が検出されたということだけです。それをミロシェビッチ氏が「服用していた」とか「摂取していた」というのはこの教授の「解釈」にすぎません。どのように体内に入ったのかは未だに不明です。

それなのに、記事の題名が「元ユーゴ大統領、治療効果減らす抗生物質を服用」ですよ?せめて「服用か」ぐらいにしてくれればよかったのに・・・。ちょっと読売新聞にがっかりしました。

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