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May 18, 2008

バルカン半島の地雷地図



先日の日記「地雷とクラスター爆弾」において、クロアチアやボスニア・ヘルツェゴヴィナの地雷について書きましたが、実際にはどこに埋まっている(いた)のでしょうか?今日は、地図で見てみます。

バルカン半島の地雷地図

まず、国連の地球資源情報データベース(GRID)で、バルカン半島の地雷地図を見ることができます。
バルカン半島の地雷地図(GRID, 2003年5月)

現在の国境やボスニアにかなり集中していますが、クロアチアにもたくさん埋められていますね。ほかに、下のサイトでも別の地図が見られます。地雷の除去が行われた場所もマークされています。
地雷地図 (アメリカのジェームズ・マディソン大学のMine Action Information Center)

もう少し新しい地図では、セルビアとその周辺(コソボ、モンテネグロ、マケドニア、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナなど)で、公害を引き起こすような産業、水質汚染、地雷の地域をあらわした地図なんていうのもあります。
有害産業、水質汚染、地雷の地図(GRID, 2007年)

世界の地雷地図

そして、地雷の世界地図。
地雷とその他の爆発物が災害を引き起こす可能性がある地域 (GRID, 2005年)
地雷地図 (ニューズウィーク, 2002年, アメリカ国務省のホームページより)(追記:リンク切れ)

なんだか、世界の半分以上の国に地雷が埋まっている(いた)ように見えます・・・。次の記事によると、まだ、世界に1億個以上が埋まっているそうですよ!
「悪魔の兵器 地雷の恐怖」 (毎日新聞のコラムより、カンボジアの地雷について。2008年2月)(追記:リンク切れ)

クロアチアの地雷

上のニューズウィークによる世界の地雷地図(2002年)によれば、1990年代の独立紛争の頃、クロアチアには約100万個の地雷が埋められていたということです。その地雷の集積度(単位面積当たりの地雷の数)は世界で最も高く、特に、スラヴォニア地方の西部と東部、そしてクライナ地方に多く埋まっていました。

地雷が埋められた場所は、畑や草地、農家の周り、道路沿い、送電線付近などで、その地域の農耕はほとんど不可能に・・・。(スラヴォニア地方は、農耕に適した肥沃な土地で知られています。)1990年から1999年の間、年に平均128人が地雷の犠牲者になりました。2000年には、30人の犠牲者が出たそうです。

いまは、地雷の除去作業がすすんでいますから、状況は改善されていると思います。それでも、Landmine Monitor Report 2007 (追記:左はリンク切れ。新リンクはこちら)によれば、2005年には地雷により1人が死亡、11人が怪我をしています。ちなみに、同サイトでボスニア・ヘルツェゴヴィナをみると、2005年の犠牲者は、死亡者18人、怪我人が17人。やはり、そのうちのほとんどが一般市民となっています。

また、Landmine Monitor Report 2006 (追記:左はリンク切れ。新リンクはこちら)によれば、オランダ人旅行者がクロアチアのVis島で山登りをしていたところ、地雷を踏み左足を失ってしまいました。当時(2005年7月)、ここは地雷の危険地域としては指定されていなかったとのこと。

地雷の標識


Hazard
Originally uploaded by Roveclimbon Flickr
地雷を警告する標識にはいろいろな種類がありますが、これもそのひとつ。NE PRILAZITEは、クロアチア語で「近付かないで!」というような意味です。この標識を見たら、足を踏み入れないようにしてください(´□`)



参考:危険を顧みず、地元民が自ら地雷除去 - クロアチア (2006年09月15日、AFPBBニュース)(追記:リンク切れ)

May 17, 2008

こどもニュースで読むクラスター爆弾



→ 前回の日記「地雷とクラスター爆弾」の続きです。

もう東欧と呼ばないで!」を書いて以来、東欧や中欧という言葉に気をつけて新聞記事を読んでいます。前回の日記でも話題に出たブラニスラン・カペタノビッチさんのことがこども新聞に載っていましたが、はてさて、その記事の中では東欧と呼ばれているでしょうか、それとも中欧でしょうか?

クラスター爆弾:「使わない条約を」 被害のセルビア人、訴えに来日毎日小学生新聞 2008年4月23日

一(ひと)つの爆弾(ばくだん)からたくさんの子爆弾(こばくだん)が飛(と)び出(だ)すクラスター爆弾(ばくだん)で、両手足(りょうてあし)を失(うしな)ったセルビア人(じん)のブラニスラン・カペタノビッチさ(42)が、クラスター爆弾(ばくだん)を使(つか)わない条約(じょうやく)を作(つく)るよう日本各地(にっぽんかくち)で訴(うった)えました。不発弾(ふはつだん)で毎年多(まいねんおお)くの被害者(ひがいしゃ)が出(で)ています。禁止条約(きんしじょうやく)を作(つく)るための国際的(こくさいてき)な話(はな)し合(あ)いが続(つづ)いています。

カペタノビッチさんは東欧(とうおう)の旧(きゅう)ユーゴスラビア軍(ぐん)の不発弾処理技術者(ふはつだんしょりぎじゅつしゃ)だった二〇〇〇年(ねん)、爆発(ばくはつ)で両手足(りょうてあし)と左耳(ひだりみみ)の聴力(ちょうりょく)を失(うしな)いました。被害(ひがい)の実情(じつじょう)と条約(じょうやく)を作(つく)ることを訴(うった)えるため、市民団体(しみんだんたい)の招(まね)きで十二日(にち)に来日(らいにち)。日本記者(にっぽんきしゃ)クラブや学習院女子大(がくしゅういんじょしだい)、アースデイ東京(とうきょう)のイベントなどで禁止(きんし)を訴(うった)えました。

カペタノビッチさんは「犠牲者(ぎせいしゃ)の約(やく)九五パーセントが一般市民(いっぱんしみん)です。爆弾一(ばくだんひと)つが多数(たすう)の子爆弾(こばくだん)をまき散(ち)らし、サッカー場(じょう)二、三面分(めんぶん)の広(ひろ)い地域(ちいき)に広(ひろ)がります」と語(かた)り、「市民(しみん)を無差別(むさべつ)に傷(きず)つける攻撃的(こうげきてき)で非人道的(ひじんどうてき)な兵器(へいき)です」と全面禁止(ぜんめんきんし)を訴(うった)えました。

市民団体(しみんだんたい)によると、クラスター爆弾(ばくだん)の死傷者(ししょうしゃ)はこれまで計(けい)一万(まん)三千(ぜん)三百人以上(びゃくにんいじょう)にのぼっています。

東欧となっていましたねw もっとも、旧ユーゴスラビアの頃はまさしく東欧と称される地域だったので、この記事で「東欧」と書かれるのもよくわかります。クラスター爆弾の被害が小学生にもわかりやすく書かれていて、さすがこども新聞。(あたりまえ?)

カペタノビッチさんは、コソボ紛争のときにNATO(北大西洋条約機構)が制裁のためにセルビアに落としたクラスター爆弾の不発弾処理をしていて被害にあいました。たとえば将来、日本が何か大失敗をして世界の怒りをかったとしますね?で、誰かが日本に武力制裁を加えようなんていう事態になったとしたら、日本にクラスター爆弾が投下されるという可能性がなきにしもあらず・・・。過去に、真珠湾攻撃という事例もあるわけですし、日本の政治家たちが失敗することだってきっとこれからもあると思います。不発弾がいっぱいの日本なんて想像するだけでもぞっとします。

ところで、たまたま目にした、国会議員の福島みずほさんのブログでも、カペタノビッチさんのことが取り上げられており、クラスター爆弾を廃止にするための決意が書かれていました。ぜひぜひがんばっていただきたいと思います。

参考(外部サイト):
 クラスター爆弾の廃止について(『福島みずほのどきどき日記』)

May 15, 2008

地雷とクラスター爆弾



⇒ 昨日の日記「オーストリア=ハンガリー帝国時代の要塞跡」の続きです。

地雷


Dalmatia 396
Originally uploaded by monsterincon Flickr
周辺を小さな山(現地では丘と呼びますが)に囲まれているモスタルのようなところは、戦争になった場合、もしも敵に山を占領されたら・・・そこから撃たれ放題になってしまうのでとても怖いと思います。(参考:モスタルの丘

そういえば、アドリア海とスルジ山(丘)に挟まれているドゥブロブニク(クロアチア)も、戦時中、山頂と海からセルビア軍に撃たれて大打撃を被りました。上の写真はドゥブロブニクです。


また、最も被害が大きかった場所の一つであるサラエボ(ボスニア)などは、セルビア軍に完全包囲され身動き出来ない状態に。その状態を表した図がこの二つです。


06-30-05 2 Sarajevo - Tactical map
Originally uploaded by david_ladanyion Flickr

map of conflict by panic
map of conflict, originally uploaded by panic on Flickr

サラエボがすっかり包囲されています。恐ろしいですね・・。陣取り合戦のような状態の中で、敵も味方も要所に地雷をたくさん埋めて、その地をお互いに奪われないようにしていたのでしょう。(実際にどのくらい地雷が埋められていたのかはこちらの記事で ⇒ バルカン半島の地雷地図

日本のクラスター爆弾

話を日本に移せば、島国であるこの日本も、敵に海から包囲されたり侵略される可能性が確かにあるわけです。それに備えて日本政府は、クラスター爆弾という、地雷に匹敵するような武器を保持しています。クラスター爆弾は、戦争が終わっても地面や地中に不発弾として残留し、犠牲者の95%が一般市民、しかもその大多数は子供という統計があります。

クラスター爆弾で手足を失ったセルビア人のブラニスラン・カペタノビッチさんが、先月のはじめ、講演などのため来日し、ニュースや新聞で取り上げられていたのをご覧になりましたか?私が聞いたテレビのニュースによれば、日本は国の防衛のためにクラスター爆弾を保有し、武力侵略を受けたら自国の沿岸に投下することにより敵の侵攻を防ぐつもりなのだそうです。でも、不発弾はおもちゃに似ているので、子供たちが近づき爆発するのだとのこと。

  • 日本人の皆さんは原子爆弾をよく勉強しているでしょう。クラスター爆弾と原爆の共通点は、どちらも一般市民が最も犠牲になることです
  • 日本にもクラスター爆弾があり、政府は「敵の上陸地点に投下する」と説明していますが、今まで、この攻撃的な兵器を自国領域に投下した国はないのです
(ブラニスラン・カペタノビッチさんの言葉より)

私は、地雷の問題は日本国内ではまさか起こりえない話だと思っていました。それなのに、第2の地雷といわれるクラスター爆弾を、防衛のためとはいえ自国に使おうとするだなんて。自分の首を自分で絞めるようなものではありませんか?自国民を犠牲にするような手段が、果たして防衛策といえるのでしょうか。

「こどもニュースで読むクラスター爆弾」に続きます。

参考:
クラスター爆弾:被害のカペタノビッチさん、名古屋で講演 /愛知(毎日新聞)(追記:リンク切れ)
http://mainichi.jp/area/aichi/news/20080417ddlk23040184000c.html
クローズアップ2008:クラスター爆弾禁止条約 日本に決断迫る肉声(毎日新聞)(追記:リンク切れ)
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080416ddm003030176000c.html
クラスター爆弾の被害者、日本政府の禁止条約調印求める(AFPBB News)
http://www.afpbb.com/article/politics/2378531/2833470
クラスター爆弾:禁止シンポジウム 政治の力が必要だ(毎日新聞)(追記:リンク切れ)
http://mainichi.jp/select/world/news/20080428ddm007030042000c.html

May 14, 2008

オーストリア=ハンガリー帝国時代の要塞跡



友達がモスタル(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)の写真を送ってくれました。以前にも書いたフォルティツァの丘で、昨日撮られたものです。上の方に見えるのがモスタルの端の部分とネレトヴァ川。瓦礫は、昔この地を支配していたオーストリア=ハンガリー帝国の要塞跡だそうです。

Fortica

ということは・・・100年以上も前の建物?!そこにコロコロしている白い物体が見えます。あれはいったい何なのでしょうか?石かと思いきや・・・

May 12, 2008

ゴランが語る・・・ルカがルカになった理由



「ER緊急救命室」のルカ役でおなじみのクロアチア人俳優、ゴラン・ヴィシュニック(クロアチア語の発音ではヴィシュニッチ)のロング・インタビューが昨日までヴェチェルニ・リスト紙に連載されていました。ロサンゼルスの新居で行われたものなので、SF好きのゴランの本棚まで見られてしまいますよ。

この家にクロアチアから記者が訪れるのは初めてのことで、しかも、渋滞の多いLAにもかかわらずゴランは約束の時間ぴったりにこの男性記者を迎えに現れ、感心させています。クロアチア社会では、時間に遅れるということがそれほど珍しくないようですから、クロアチア人記者にとっては余計に衝撃的だったのかもしれません。

さて、ルカという役名(ゴラン自身の甥の名前)をゴランが自分で決めたということは広く知られていますね。でも、普通は配役以前に決まっているはずの役名を、なぜ役者自身が決めることになったのでしょうか?

実は、この役は元々 「Jovan」(ヨヴァン)という名前だったので、ゴランが、「君たちにはどうでもいいことかもしれないけど、僕にとっては大問題なんだよ!」と言って製作側を説得し、名前を変えさせてもらったのだそうです。

なるほど!ヨヴァンは、セルビア人男性の典型的な名前ですから、クロアチア人役には全く不適切なわけで、ゴランが反対したのも無理ありませんね。クロアチア人ならイヴァンとなるのが普通です。つまり、イヴァンのセルビア版がヨヴァンという感じなのです。ほかにも、 Žika、Sava、Bratoljub、とかセルビア人っぽい名前がいろいろありますけれども、その代表格がヨヴァン。私たちのホームページにもクロアチア人の男の子が登場しますが、その名前はもちろんヨヴァンとかではなく、イヴァンくんとなっていますw 

対応表

- クロアチアセルビア
男性名Ivan イヴァンJovan (キリル文字では Јован) ヨヴァン
女性名Ivana イヴァナJovanka (キリル文字では Јованка) ヨヴァンカ

そういえば、聖書でも、日本でヨハネと称される聖人が、クロアチア語版では イヴァン (Ivan) で、セルビア語版では ヨヴァン (Jovan、キリル文字では Јован) になっていました。英語ではジョン (John)ですよね。(参考:クロアチア語の文字

ブログ内関連記事:
クロアチア人とセルビア人の名前
クロアチア語、ボスニア語、セルビア語の間の深い溝

May 1, 2008

パイレーツ・オブ・カリビアンの予告編(クロアチア語字幕付き)



ゴールデンウィークが始まっていますね!この期間に少なくとも一本は新しい映画を見たいと思っています。でも、今日ご紹介するのは世間で既におなじみの映画、「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」の予告編なんです。クロアチア語の字幕が多少間違っているところもありますので、クロアチア語を学習している皆さんは、間違いさがしをするつもりでよ~く見てくださいね。(ヒント:文法ではなく、表記のしかたが間違っているところを探して!)

それでは、まずはじめに、予告編からご覧ください。この動画は、YouTube で見かけたものです。ちなみに、クロアチア語でパイレーツ・オブ・カリビアンは Pirati s Kariba と呼ばれます。(追記 2012年:この動画はもう閲覧できないようです。

http://www.youtube.com/watch?v=avbVoMpaSsc

いかがでしょう?うまく見つけられましたか?

例えば、Dali biste bili hrabri? と書かれている疑問文中の Dali は、一語ではなく、Da li と離すべきところです。また、35秒目と1分45秒目ぐらいのところにも、Da li が一語にくっついてしまっているところがありますね。ほかに、ne bi とされるべきところが nebi になっていたりします。(例:1分20秒目あたりの、Naša veza nikad ne bi uspjela.)

また、「なぜ」という意味の zašto が、53秒目ごろでは žašto になってしまっています。

字幕の内容が、オリジナルの台詞と少し違う場所がありますが、次数制限などもありますから、許容範囲内の意訳ということで理解しておくことにします。

「結婚してくれる?」をクロアチア語で

最後に、覚えておくといつか役に立つかもしれないフレーズをひとつ。ウィルがエリザベスに Will you marry me?(結婚してくれる?)と尋ねている場面の、Da li ćeš se udati za mene? です。

この ćeš は、hoćeš の略で、口語で使われます。つまり、手紙で使うなら、Da li hoćeš se udati za mene? の方が好ましいということになります。また、ćeš は文頭には置かれませんので、Hoćeš li se udati za mene? という言い方の場合、 ćeš にすることは出来ません。(参考:いろいろな疑問文の作り方

気を付けなくてはいけないことは、上のフレーズは男性が女性に言う言葉だということ。女性が男性に向かっていうならば、udati のかわりに oženiti を使います。

例: Da li ćeš se oženiti za mene? (私をお嫁さんにしてくれる?)

みなさんがゴールデンウィークを楽しく安全に過ごせますように。

日本語字幕付きの予告編は、この映画のホームページで見ることが出来ます。
http://www.disney.co.jp/pirates/(追記:リンク切れ)

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