September 24, 2005

ボスニア語を話すのは誰?(2)



ボスニア語を話すのはボスニア地方の人か南スラブ系のムスリムだと、昨日の日記「ボスニア語を話すのは誰?(1)」で申しました。では、南スラブ系のムスリムとは一体誰なんでしょうか?

ムスリムとはイスラム教徒のことをいいますが、この「南スラブ系のムスリム」というのは中近東のイスラム教徒とは人種が違います。それで最近は、ボスニア・ヘルツェゴビナやその周辺に住むムスリムのことを敢えてボシュニャク人(ボシュニャック人)と呼ぶようになってきています。ボシュニャク人とクロアチア人とセルビア人は、人種的には皆同じ南スラブ系となります。大きな違いは宗教で、以下の通り。

クロアチア人はローマ・カトリック教徒

セルビア人はセルビア正教徒(東方正教会)

ボシュニャク人(ムスリム)はイスラム教徒

バルカン半島がオスマン帝国(オスマントルコ)に支配されたときにイスラム教に改宗したグループ、それがボシュニャク人の祖先だと言われています。クロアチア人もセルビア人もボシュニャク人も血統的には皆同じ・・・ならば顔だけだと見分けがつかないんでしょうか、とクロアチア人の友人に聞いてみました。答えは、本当に「顔だけでは見分けがつかない」ということです。混血の人もたくさんいるので、顔だけではわからないのだそうです。

しかしですよ!私の主観で言わせてもらえば、ボシュニャク人はなんとなく濃いというか、クロアチア人とは顔の特徴が少し違う気がするんですが・・・。うーん、言い方を変えたほうがいいですね。つまり、数は限られていますが、私が会ったことがあるボシュニャク人のみなさんは、私が知るクロアチア人たちよりもなんとなくこう・・眉とかが濃くて、クロアチア人とは少し違って見えたんですよ。でも、気質はクロアチア人と同じくとても人懐こかったです。

ボシュニャク人は外見がクロアチア人とは違う、という意見を持つクロアチア人もいることにはいます。これは過度な民族主義に基づいた偏見とも言えますが、かつてこんなニュースがありました。

The Miss Croatia scandal of 1998
http://www.everything2.com/index.pl?node_id=1394579

Muslim reinstated as Miss Croatia
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/203399.stm

1998年、ミスクロアチアに選ばれた女性(クロアチアのドゥブロヴニク出身)が、数日後そのタイトルを剥奪されてしまいました。これはクロアチアでも一大スキャンダルに発展しました。反対派の意見を挙げると、まず彼女がクロアチア人ではなくボシュニャク人だから、また、彼女の顔がクロアチア人には見えないからそれをクロアチアの美の代表として世界に示すわけにはいかない、などなど。でも、彼女は堂々と一位になったわけで、もしもそれほどまでにクロアチア人と違う顔なら、もともと誰も彼女に投票しなかったはずでは? やっぱりあまり外見の差はなかったのではないでしょうか。

--> 翌日の日記「ミスクロアチア・スキャンダル(1998)」に続く

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