それは、モスタル市のホームページです。
http://www.mostar.ba/
表紙でまずクロアチア語(hrvatski jezik)かボスニア語(bosanski jezik)のどちらかを選択するようになっています。実際は、クロアチア語もボスニア語も文法的にはほとんど同じで方言程度の差しかありません。また、書籍だとボスニア語で書かれているものはとても少ないので、ムスリム(ボスニア語を話す)でもクロアチア語やセルビア語の本を普段読んでいる。なのに、このホームページはどうしてわざわざクロアチア語版とボスニア語版に分けているのだろう、と疑問に思っていました。(しかも両方ともラテン文字で書かれているのに。)
今はその理由が分かります。もしもこれが何の選択肢もなくいきなりクロアチア語だけで書かれていたら、ムスリムは疎外されているような気分になるでしょう。モスタルはクロアチア人だけのために存在しているわけではないのですから。逆に、もしも全部ボスニア語だったら、クロアチア人の気に障ることでしょう。だから、言語自体にたいした変わりがなくても、クロアチア語版とボスニア語版の両方を示す必要があるんですね。
ウィキペディアに、モスタルの人口の推移が出ています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mostar
戦争前はセルビア人も住んでいましたが、今はクロアチア人とムスリムの人が大半みたいです。
モスタルの人口の割合
クロアチア人 48.29%
ムスリム(ボシュニャク人ともいう) 47.44%
セルビア人 3.46%
その他 0.81% (2003年の調べ)
追記:2012年10月にモスタルのホームページを再度確認したところ、英語とセルビア語も加えられており、4か国語(クロアチア語、ボスニア語、セルビア語、英語)から選べるようになっています。